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「飲む」
画像:ポッジョ・レ・ヴォルピ ドンナルーチェ

ラツィオ州生まれのアマトリチャーナには、遅摘みブドウの力強い風味を楽しめる同郷のワインを|週末ワインライブラリー

「飲む」

この連載で追求するのは、自分へのちょっとしたご褒美や友人宅に招かれた際に持参したい、週末にゆったり楽しむワイン。上限予算は3,000円。ハレの日のラグジュアリーなワインや、毎日の晩酌用のデイリーワインも欠かせないけれど、最も深くワインの愉しさ奥深さを教えてくれるのは週末に味わうワインたちかもしれない。レクチャーしてくれるのは、世界各国を飛び回りながら年間500種以上のワインを飲む干す「るもわ脛」氏。

ワインに限らずお酒に合わせる食事やつまみは、塩辛さやスパイスの刺激が効いているとグラスをどんどん進めてしまう。イタリア料理でいえば、豚頬肉の塩漬け (グアンチャーレ) を用いるアマトリチャーナ、カルボナーラ、あるいはニンニクや唐辛子の効いたペンネ・アラビアータといったパスタはまさにそれにあてはまるメニューだが、実は今挙げた3種のパスタはすべてラツィオ州発祥の料理だ。

これらのパスタにはぜひ、同州でポッジョ・レ・ヴォルピが造るドンナルーチェを合わせたい。このワインの主要品種はマルヴァジア・デル・ラツィオ。マルヴァジアは、白ワイン向けのシャルドネ、ソーヴィニョン・ブランといった品種ほどメジャーではなく、かつマルヴァジア・〇〇〇といった亜種が多いため少々とっつきにくいところもあるが、先ずはドンナルーチェを覚えておきたい。イタリア語でドンナが女性、ルーチェが太陽、すなわち輝く女性を意味することもあり女性にもおススメしたい。イタリアワインガイドのルカマローニで最高得点である99点を5度も獲得していて実力も折り紙付きだ。

 

画像:ポッジョ・レ・ヴォルピ ドンナルーチェ

 

このワインの香りはフレッシュな洋梨、青リンゴ、またやわらかい甘さを含む白桃やライチ、さらにはフラワリーなニュアンスも重なり非常に香り豊か。口に含むと、力はありながらもみずみずしい果実味にスルスルとグラスが進む。穏やかながらワインのバランスを的確に整える酸味が心地よい。マルヴァジアを用いたワインにはしばしば水っぽいものが存在するが (それはそれで控えめな個性に様々な食事に合わせやすいのだが) 、このワインはブドウを遅摘みして風味を凝縮させていて飲みごたえがある。それゆえに塩味、唐辛子やニンニクを使ったピリ辛にもワインが負けない。

ちなみにイタリアのお隣、クロアチアではマルヴァジアが栽培面積第二位で主要な品種。マルヴァジアの香りを嗅ぐと、ドゥブロブニク旅行中にアドリア海を眺めながら生ガキやマグロのタルタルなどのシーフード料理と一緒に白ワインを楽しんだことを思い出す。イタリアのピリ辛料理のみならず、魚料理、肉料理と幅広く寄り添う使い勝手の良い品種だ。

ポッジョ・レ・ヴォルピ ドンナルーチェ
生産地:イタリア(ラツィオ州)
生産者:ポッジョ・レ・ヴォルピ
品種:マルヴァジアデルラツィオ60%、グレコ30%、シャルドネ10%