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本場と同じ原材料、鮮度のモッツアレラチーズを東京で – MuMu MOZZARELLAの挑戦

2018年に東京・南青山にオープンした「MuMu MOZZARELLA」(ムームーモッツアレラ)は、イタリア本場のフレッシュなモッツアレラとブッラータを楽しめる専門店。イタリアから仕入れた原料を使って自社の工房内で製造し、日々作りたてを販売している。

出来立てのチーズにしかない味わいが自慢

こちらの店舗を手掛けるのは、数々のイタリアンレストランを運営する高波利幸さん。「本物のイタリアの食文化を通じて、お客様の心を豊かにする」をモットーに1993年に新潟県で事業を開始して以来、東京や神奈川を中心に幅広く店舗を展開している。

高波さんと、高波さんが手がけるレストランのひとつ「イル・パチョッコーネ・カゼイフィーチョ」長の澤中諒さんに、新業態としてチーズ専門店を出店したきっかけやフレッシュチーズに込めた想いをった。

イタリアで出会った本場のモッツアレラ

イタリアと同じ味、同じ鮮度を東京で味わえる

ムームーモッツアレラが提供しているのは、モッツァレラとブッラータの2種類のチーズ。

モッツアレラはイタリアの南部カンパニア州のサレルノが発祥と言われており、弾力のある歯ごたえが特徴。ブッラータは繊維状にカットしたモッツアレラと生クリームを、モッツァレラの生地で巾着状に包んだチーズだ。イタリア語で「バターのような」という意味をもつ。

どちらにも共通しているのが、熟成させずに出来立てを食べるフレッシュタイプのチーズということ。「時間が経つと味がどんどん変化してゆく、とてもデリケートな生鮮食品です。出来た瞬間から劣化が進み、食感的には弾力が弱まっていきます」と高波さんは言う。

本物の食にこだわり、事業展開を進める高波さん

高波さんがイタリア本場のモッツアレラと出会ったのは2016年のこと。サレルノの現地で食べた出来たてのモッツアレラに感動したことが、すべての始まりだった。

さらに驚いたのが「コンパクト・モッツアレラ製造システム」と呼ばれる製造工程だった。チーズの元になる「カード」と呼ばれる牛乳の固形分と専用のマシーンがあれば、比較的簡単にフレッシュなモッツアレラが生産できる仕組みだという。

「それまでうちのレストランでは、イタリアから冷凍輸入したモッツアレラや北海道産のフレッシュなどを使用していました。しかしイタリアで出会ったモッツアレラは、間違いなくお客様を感動させることができると感じたのです」

本場の味に魅了された高波さんは、国内の自社工場でモッツアレラを生産し、販売することを決意。2018年にチーズ専門店としてムームーモッツアレラを東京都港区に出店した。

味の決め手はイタリアの特別なミルク

豊かなイタリアの自然で育ったブルーナ・アルピーナ種の乳牛

ムームーモッツアレラのチーズに使用されているのは、ブルーナ・アルピーナと呼ばれる乳牛のミルクだ。牧草飼料のみで飼育される特別な牛のミルクで、その名を名乗るために厳しい認証基準をクリアする必要のあるイタリアチーズの王様・パルミジャーノ・レッジャーノにも使用されているミルクだ。

「乳脂肪分が少なく濃い味わいが楽しめるのが特徴です」と、チーズの製造工程を教えてくれた澤中さんは生き生きと語る。イタリアの濃く青い空のもと、太陽をいっぱいに浴びた牧草で育った牛にしか出せない味わいが、手のひらサイズのチーズに凝縮されている。

市場で安価に流通されているモッツアレラのなかには、味や形を均一にするために加工物が入っていることもある。しかしムームーモッツアレラでは乳化安定剤などの保存料を一切使用していない。

「弊社のチーズは美味しさの期限が本当に短い。ブッラータも鮮度が命。出来立てを提供するからこそ、お客様にプリップリッの食感と溢れだすミルクのジューシーさを味わっていただけます」と高波さんも自信を見せる。

モッツアレラとブッラータの本当に美味しい食べ方

シンプルな味付けがチーズの旨味を引き立てる

原料から製造まで、すべて本場イタリアの製法を取り入れたムームーモッツアレラのフレッシュなチーズたち。どの料理に合わせても美味しいことは間違いないが、せっかくいただくならば、とびきりの味を楽しみたい。

「モッツアレラはエキストラバージンオリーブオイルと塩、そして胡椒だけでシンプルに食べるか、南イタリアを代表する料理のカプレーゼがおすすめ。トマトとバジルをオリーブオイルや海塩、黒胡椒で味つけした料理です」

「ブッラータは時間が経つほどに食感が変化していきます。薄焼のカナッぺにのせたり、熱々のトマトソースのパスタの上にのせて絡めて食べたり、フレッシュフルーツと共に食べたり。相性はまさに無限と言えるでしょう」

「みずみずしいうちが美味しいと言われる方、生クリームを吸ってバターの様な状態が好きだと言われる方など様々ですね」

ムームーモッツアレラではチーズ本来の味を損ねないように、塩味の強すぎない塩を使用している。一口一口ゆっくり嚙みしめたくなる、細部までこだわり抜かれた味わいだ。

本場イタリアで認められた味を、日本に広めたい

出来立てのフレッシュチーズを丁寧に販売する

原料があれば、誰でもイタリア本場の出来たてのモッツアレラが生産できる。高波さんは日本におけるチーズの新境地を開拓しつつある。

「今後は差別化を図りたい飲食チェーン店やホテル、そしてスーパーマーケットなどに幅広く原料を販売していきたいと思います。原料と機械さえあれば、いつでも誰でもフレッシュなモッツアレラやブッラータが作れる。いわば原料の卸し業ですね」

「当面は地元の新潟県で食をテーマに力を発揮していきます。小中高校生に対して食への興味や関心を高める活動も始める予定で、人材の育成事業にも取り組みたいですね。新潟県上越市ではウォーターフロントの再開発を地元企業と一緒に進めていきます。我々はクラフトビール事業を始める予定です」

「今春の新潟県版ミシュランへの掲載を目指し、全国から美味しいものを食べに足を運んで貰えるようなお店を作り上げたいと思います」

新潟から出発したイタリアンレストランは東京や神奈川へと幅広く展開し、2012年には海を超えてイタリアにも店舗を構えた。イタリアの本場の味やサービスにとことんこだわり続ける高波さん。次回はこだわりのモッツアレラとブッラータの製造工程を詳しく紹介する。

高波 利幸 クオルス株式会社 代表取締役
1968年、新潟県生まれ。高校卒業後、服部栄養専門学校に入学。在学中のヨーロッパ研修がきっかけでイタリアに興味を持つ。1993年に会社設立、新潟にイタリアンレストランをオープン。東京・青山「トラットリア イル・パチョッコーネ」等国内に7店舗、イタリアに1店舗を経営。イタリア食材・ワインの卸売事業なども手がける。

MuMu MOZZARELLA 東京モッツアレラ工房 南青山店
住所:東京都港区南青山6-15-8
電話:03-5468-0555
定休日: 毎週日曜日
MuMu MOZZARELLA 東京モッツアレラ工房 神宮前店
住所:東京都渋谷区神宮前4-1-22 裏参道工房内
電話:03-6434-0135
定休日: 毎週日曜日
MuMu MOZZARELLA ウェブサイト
https://mumu-mozzarella.com/