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「飲む」

麻婆豆腐にフランチャコルタを|週末ワインライブラリー

「飲む」

この連載で追求するのは、自分へのちょっとしたご褒美や友人宅に招かれた際に持参したい、週末にゆったり楽しむワイン。上限予算は3,000円。ハレの日のラグジュアリーなワインや、毎日の晩酌用のデイリーワインも欠かせないけれど、最も深くワインの愉しさ奥深さを教えてくれるのは週末に味わうワインたちかもしれない。レクチャーしてくれるのは、世界各国を飛び回りながら年間500種以上のワインを飲む干す「るもわ脛」氏。

中華料理にワインを合わせるときに、少しのコツを使うだけで素晴らしい相性を見つけやすくなる。

辛さの効いた料理には、ブルゴーニュなどの繊細なワインの風味はかき消されてしまうので、赤ワインでは果実味と重量感のあるカベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、サンジョベーゼ、ネッビオーロ、白ワインでは華やかな香りを持つリースリング、ヴィオニエ、ゲヴェルツトラミネールといった品種を合わせると大きな失敗はない。

加えて、料理との相性の範囲が広いロゼ・ワイン、スパークリング・ワインもおススメだ。赤ワインなら果実味強め、白ワインなら華やかな香り、迷ったらロゼかスパークリング、がおおまかなコツだ。

中華料理の中でも特に好物なのが麻婆豆腐。
辛さの効いたこの四川料理の代表は、舌が痺れるような辛さ (花椒系) の麻味と、ヒリヒリする辣味 (唐辛子系) を含む。定期的に身体がこの麻辣 (マーラー) を欲するので中華料理屋に駆け込み、食べ切る前に酢を加えさらに酸による刺激をアップさせるのが我流だ。

先日、その麻婆豆腐に合わせてみたのが、イタリアのスパークリング・ワイン、“Contadi Castaldi Brut(コンタディ・カスタルディ ブリュット)”。
こちらはフランチャコルタと呼ばれる、北イタリアのロンバルディア州で瓶内二次発酵方式により造られるスパークリング・ワインで、使用されているのはシャルドネ、ピノ・ネロ、ピノ・ビアンコの3品種である。

ワインをグラスに注ぐと、力強い泡立ち、色調は淡めのレモンイエロー。香りには白桃、洋梨、メロン、微かにリンゴのコンポートなど。風味にはみずみずしいリンゴを思わせるフレッシュ、クリーンな果実味が柔らかい上品な甘さを伴い、こぎみよい酸味がワインを心地よく引き締める。

麻辣の刺激を柔らかく受け止める上品で爽やかな甘さと、ワインに含まれる泡の心地よい刺激により麻婆豆腐の風味が厚みを増し、そして後味は爽快だ。出荷までの26ヶ月の瓶内熟成を経て、シャンパンに劣らない繊細さと複雑さを持ちつつ、辛みの効いた中華料理への包容力を備えた素晴らしいワインだ。

Contadi Castaldi Brut(コンタディ・カスタルディ ブリュット)
生産地:イタリア

生産者:Contadi Castaldi (コンタディ・カスタルディ)
品種:シャルドネ、ピノ・ネロ、ピノ・ビアンコ