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【現地レポート】なぜ日本にドイツワインが少ないのか?ドイツワインの今を巡る旅

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ドイツ西部在住で、EAT UNIVERSITY上でこれまでに2度、新型コロナウィルスの影響下にあるドイツの食事情についてレポートしてくれた駒林歩美さん(過去記事はこちらから)。今回、長く、厳しい行動制限が緩和されはじめている現地で、駒林さんはワインの名産地であるモーゼル川沿いのワイナリーを、自転車で巡る旅に出掛けました。

モーゼル川は、フランス北東部の山岳部に源を発し、ルクセンブルグ、ドイツ中西部と通り抜けて、ドイツのコブレンツでライン川と合流する全長約550kmの川だ。コブレンツは、大聖堂が有名なドイツ東部の大都市ケルンから川沿いに南100kmほどの位置にある。

地図内の赤線が今回自転車で走り抜けた部分

多くのドイツの都市は、第二次世界大戦中に空襲を受け、古い建物が消失し、再建されている。一方、おそらく工業的にはそれほど発展していなかったモーゼル川沿いの街や村には古い木組みの家がたくさん残っていて、ただ散歩するだけでも楽しめる。

かつて日本で人気の高かったドイツワイン

圧倒的に生産量が多いフランスやイタリアのものと比較すると、ドイツのワインは日本でそれほど知られていない。しかし、ドイツの白ワインはほのかな酸味と豊かな芳香を合わせ持ち、繊細で非常にエレガントで完成度の高いものが多い。

その中でも有名なのが、寒冷な気候でも育つぶどう品種であるリースリングで造るワインだ。私は元々このリースリングのワインが好きで、たまたまドイツに住むことになった今は、さまざまな銘柄を試す機会に恵まれている。

ドイツには国土の南西部を中心に13のワイン生産地域があり、ライン川とその支流などの川沿いにブドウ畑が広がっている。厳しい気候の中で作られたワインには、各作り手の工夫が表れ、個性がはっきりと表れてくる。

かつて日本がバブル経済で沸いた1980年代の頃には、日本でも高品質のドイツ産ワインの人気が高かったらしい。しかし、1985年にオーストリア産でドイツに輸出されていた低価格ワインに、エンジン凍結を防ぐためなどに用いる化学物質が混入していた事件が発覚したことで、オーストリア産とドイツ産のワインは1年間日本への輸入が禁じられた。

それ以降、ドイツワインは日本ではそれまでのような人気は獲得できていないが、それでも多種多様なドイツワインが日本に輸入されている。

昔は、ドイツワインといえばアイスワインなどの甘口の白ワインで有名だったようだが、現在は辛口の生産が多く、地域によってはピノノワールなどの赤ワインも多く生産される等、バリエーションも豊富だ。

とはいえ、ドイツワインのぶどうの生産面積は、2017年時点で白ワイン種が66%を占め、圧倒的に白ワインが多い。特に今回訪問したモーゼル地方は、リースリングの割合が60%以上を占める。

モーゼルワインとは

モーゼル川でのワイン生産は、ドイツでももっとも歴史が長いとされる。緯度50度前後の涼しい気候でワイン生産の北限と言われるほど涼しかったが、川沿いの谷間の急な斜面にぶどうが植えられ、なるべく多くの日光を浴びた、ワインに適したぶどうが作られてきた。

さらに、ワイン畑の半分以上の土壌は、スレートという粘板岩の薄い層からなっており、その地質がぶどうの木にたくさんのミネラルと風味を与える。さらに、スレートは昼間に日光を吸収して熱を保ち、夜には冷たくなると言う、寒暖差をさらに与える土壌だ。

私たちは、ルクセンブルグに近いトリアーという都市から、ぶどう畑沿いを約200km走り抜け、ライン側と交わるコブレンツを目指した。

その途中で6つほどの著名ワイナリーを訪問し、たくさんの種類のワインを試させてもらったが、どこも異なる個性と歴史を持っていて、たくさんのことを学べた。それらのワイナリーについて順番に紹介していきたい。

駒林 歩美
歴史と緑の豊かな、ドイツ西部の小都市でのんびり暮らすフリーランサー。これまでオランダやイギリスの大学院で学び、東南アジアなどで働き、あちこちで美味しいものを探す。6カ国目のドイツでは、ソーセージなどの肉料理、ドイツパンの美味しさに目覚める。時には新鮮なシーフードを求めて欧州各国を旅するのが好き。

 


 

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