その起源は古代ローマ?禁酒法時代のアメリカ?「お酒好きのためのノンアル講座 by 3rd Menu × 株式会社アルト・アルコ)」イベントレポート
2021年8月25日(水)、EAT UNIVERSITYが運営する、手づくりお取り寄せのセレクトショップ「3rd Menu」は、日本初のノンアルコールドリンク専門商社である株式会社アルト・アルコと共同で、Zoomを使ったオンラインイベント「お酒好きのためのノンアル講座」を開催しました。
ノンアルコールドリンクの歴史とは?また、世界的にブームを迎えている現在のトレンドや、オルタナティブアルコールについてなど。株式会社アルト・アルコの代表取締役、今秋にはオルタナティブアルコールをテーマにした書籍の出版も予定している安藤裕さんを講師にお迎えして、その魅力と楽しみ方を、たっぷりとお届け。後半には日本初となる本格派ロー/ノンアルコールバー「Low-Non-Bar」のバーテンダー反町さんにもご登場いただき、おすすめモクテルの作り方もご紹介いただきました。
ノンアルコールドリンクの歴史とは?
衛生目的、薬用目的として誕生
現在は嗜好品として楽しまれているノンアルコールドリンクですが、もともとは衛生目的、薬用目的として誕生したという背景がありました。例を挙げると、まずは古代ローマで兵士や一般市民にエナジードリンクのように親しまれていた「POSCA」。これは冷蔵庫の無い時代、保存目的で野菜や果物を酢漬けにしており、その酢を水で割って飲んでいたもの(真水を飲む際に酢の殺菌作用を利用したという説もある)。また薬剤師考案の「コカ・コーラ」は、ハーブやスパイスの効用、炭酸水が健康に良いという発想で考えられたノンアルコールドリンクです。
ノンアルコールドリンク発展のきっかけ
ノンアルコールドリンクを語る上で、禁酒運動は欠かせない出来事。実は「コカ・コーラ」も禁酒運動により誕生したという側面があり、もともとワインにコカインなどを漬け込んだアルコール飲料「コカワイン」として親しまれていたものが、アメリカ合衆国内の州レベルでの禁酒令の影響を受けて、ノンアルコールドリンク「コカ・コーラ」に変貌を遂げました。そして1920~1933年、アメリカ合衆国にて施行された禁酒法の時代には、定番のアルコールカクテルが次々とノンアルコールにアレンジされて楽しまれるようになり、ノンアルコールドリンク発展のきっかけとなりました。
ノンアルコールドリンク普及のきっかけ
①脱アルコール技術の誕生
今も使われている脱アルコール製法のロジック(アルコール飲料からアルコール成分を抜く)が、1909年に確立しました。
②家庭用冷蔵庫の広まり
さらに1920年代、アメリカ合衆国では家庭用冷蔵庫の普及を受けて、RTD飲料(Redy To Drink/開けてすぐに飲める飲料)の需要が高まります。飲み物でいえば、常温保存ができる酸度や糖度が高いものしか一般家庭での保存は難しかったのですが、家庭用冷蔵庫が広まると、そのまま冷やして手軽に飲めるRTD飲料の需要も高まり。これはノンアルコールドリンクが広まる重要なポイントとなったのです。
新たな文化として発展・深化するノンアルコールドリンク
数年前まで、ノンアルコールドリンクと聞くと、禁酒や断酒、お酒好きな人が我慢をするための代替品といった、少しネガティブな印象を持つ方も多かったはず。しかし近年では、ミレニアル世代を中心に「ソバーキュリアス(Sober Curious※1)」、「マインドフル・ドリンキング※2」といった、お酒が飲めないわけではなく、あえて飲まない、少量だけ楽しむという価値観やスタイルが広まって、世界中で注目を浴びています。今や日本を含めて世界中にノンアルコールに特化したバーも登場して、料理とノンアルコールドリンクのペアリングも親しまれるように。価格帯に関しても、質の高いノンアルコールドリンクを提供しているお店では1杯約11~13ドルと、アルコール飲料に引けを取らない強気の価格設定も見られます。そんな新しいノンアルコール文化を象徴し、牽引する存在として「オルタナティブアルコール」があります。
※1 2018年、アメリカ合衆国発刊の書籍「Sober Curious」(Ruby Warrington著)で発表された。Sober=しらふ+curious=~したがる。お酒を飲まない、もしくは少量にとどめておくという価値観
※2 2017年、イギリス発刊の書籍「Mindful Drinking: How To Break Up With Alcohol」(Rosamund Dean著)で発表された。「飲む」行為や感覚に集中する考え方。イギリス発の「マインドフルネス」という、今に集中し、精神的な豊かさを追求する瞑想法から派生した
新たなノンアルコール文化を牽引する。欧米発の「オルタナティブアルコール」
「オルタナティブアルコール」とは、スーパーマーケットやコンビニに並ぶノンアルコールの缶ビールやカクテル、ワインなどとは一線を画す、全く新しいスタイルの嗜好品。従来のノンアルコールドリンクが、前述したアルコール成分を抜く引き算の発想とすると、「オルタナティブアルコール」は、ベースとなる果汁やビネガーに、ハーブ、スパイスなどのボタニカル(自然由来)を絶妙に加える足し算の発想。アルコールが無い分軽くなりがちな味わいに、科学的アプローチは加えず、ボタニカルによって深みとパンチをプラスして作り上げるのです。
安藤さんが専門的に取り扱っているのが、まさにこの「オルタナティブアルコール」。従来型のノンアルコール(脱アルコール製法)ドリンクでは、醸造機器、そして脱アルコール機器の導入が必要となり、なかなか小規模メーカーが参入できない状況にありましたが、現在「オルタナティブアルコール」の世界には比較的小さなメーカーが参入しやすく、安藤さんの見解によると、生産者のコンセプトや想いが消費者へストレートに伝わってくる個性的なブランドが誕生しているのだとか。安藤さんが自ら厳選し、ゼロから取引をスタート。日本での独占販売権を持ち、「3rd Menu」上で購入可能な2つのノンアルコールブランド「/shrb(シュラブ)」、「NON(ノン)」も、もちろんクラフトマンシップに溢れるブランドたち。
ノンアルコール文化の最先端、イギリス・ロンドン生まれの「/shrb」は、アップルビネガーをベースに、種々のボタニカル、果実を組み合わせた大人のソフトドリンク。そもそもローマ帝国時代に起源を持つ飲料「シュラブ」をアレンジしたもので、そのままキリリと冷やして飲んでよし。好みのジュースやノンアルコールビールと組み合わせてみても、新しい美味しさを発見できます。
デンマーク・コペンハーゲンに本店を構える世界的なレストラン「noma」出身の元シェフが監修する「NON」は、ワインのように選んで楽しむことができます。セミヨンの白ブドウ果汁をベースに、果実やボタニカル、ハーブ、スパイス、時にはたまり醤油や昆布といった意外なものまで複雑に組み合わせて、ワインの新しいオルタナティブドリンクとして現在5種類を展開中です。
バーテンダー直伝!「オルタナティブアルコール」を使った、美味しいモクテル
講座の締めくくりに、日本初となる本格派ロー/ノンアルコールバー「Low-Non-Bar」(東京都千代田区)でバーテンダーを務める反町さんが登場。まだまだ暑さの残る今にぴったりな、爽やかな味わいのモクテルのレシピをご紹介いただきました。自宅時間をヘルシーに、かつ大人の味わいで充実させることの出来るモクテル。ぜひご自宅で、チャレンジしてみては。
▼講座内でご紹介いただいたモクテルの詳しいレシピ(「Low-Non-Bar」note):シュラブモヒート、レモンスカッシュ(皮ごとレモンシロップ)
安藤裕(あんどう ゆう) 株式会社アルト・アルコ 代表取締役
1991年生まれ。日本初の「オルタナティブアルコール」専門商社、株式会社アルト・アルコの創業者。大学時代に1年間、渡仏。本場のワインに触れる機会に恵まれ、帰国後はワイン商でインターンとして勤務。卒業後、ワインの輸入業に従事するなかで、ノンアルコールドリンクに関して考えるきっかけを得た。イギリス生まれの新しいノンアルコールスタイル「オルタナティブアルコール」を日本へ運び込んだ、第一人者である。
Low-Non-Bar
住所:東京都千代田区神田須田町1-25-4 マーチエキュート神田万世橋1F-S10
URL:http://orchardknight.com/bar/low-non-bar
EAT UNIVERSITY編集部が選ぶ、本当に美味しい手づくりグルメのセレクトショップ
「3rd Menu by EAT UNIVERSITY」
“食を楽しみ尽くすための学校”をコンセプトに、様々なテーマについて取材を行ってきたEAT UNIVERSITYでは、そのネットワークと取材力を活かし、自分たちでその味を確かめ、本当に美味しいと思うお店の手づくりお取り寄せグルメだけを取り扱うセレクトショップ「3rd Menu by EAT UNIVERSITY」をオープンしました。
①実際に1店1店試食審査し本当に美味しいお店の商品だけを取り扱うこと、②工場製造ではなくシェフ手づくりの商品をレストランのキッチンから直送すること、にこだわることで、本当に美味しいものだけをお届けしています。
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