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酵素・発酵がもたらすお肉の食べ頃。独自開発の新熟成法で作られる「発酵熟成肉」が自宅へ届くまで

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発酵熟成させた群馬県産黒毛和牛種の赤城牛。肉本来のうまみに、上品な熟成香が加わり、堪えられない美味しさだ。

柔らかな食感と豊かな旨味が楽しめる熟成肉。日本では幾度かのブームを経て今や高級食材のスタンダードとして親しまれているが、熟成肉のなかでも「発酵熟成肉」をご存知だろうか?「発酵熟成肉」とは、ミートエポック社と明治大学農学部が共同開発をした、日本初の新熟成製造技術「エイジングシート」を用いて作られた熟成肉のこと。ナッツのようなスパイシーで芳醇な香り、熟成香、脂の口溶けは、フレッシュミートとも従来の熟成肉ともまた違う。独特の美味しさと、その安全性が特徴。

今回EAT UNIVERSITY編集部は、ミートエポック社の熟成庫を訪問し、同社の川野辺さんに発酵熟成肉の世界を案内頂いた。

そもそも、熟成肉って何?

食品において熟成とは、一定の期間を経て美味しく変化を遂げること。熟成肉の作り方は幾つかあるが、現在の主流「ドライエイジング」でいうと、専用の熟成庫に肉を入れ、温度、湿度、風、菌を厳密に管理。数ヶ月をかけてゆっくり熟成され食べ頃を迎えたら、熟成の過程で肉に生えたカビ、乾燥した肉の表面をトリミングして可食部を切り出す。

熟成肉が美味しい理由。それは肉を寝かせることで、筋繊維の決着剤・コラーゲンが膨潤して柔らかな肉質へと変化して、菌や酵素がタンパク質を分解してアミノ酸が増加することで肉の旨味が増すためなのだ。

画像:熟成肉

人気部位のマルシンとランプをステーキに。

ミートエポック社、独自の発酵熟成法で作る「発酵熟成肉」

―開発のきっかけ
ミートエポック社の代表を務める跡部美樹雄さんは、2013年から熟成肉をメインにしたレストラン「旬熟成」(株式会社フードイズム/現在、六本木と銀座に3店舗展開)を経営。当初は先述の「ドライエイジング」製法で作った熟成肉を提供していたが、明治大学農学部農芸化学科の教授・村上周一郎さんとの出会いがきっかけとなり、2014年より日本初となる発酵熟成法の開発をスタートさせた。

「跡部はもともと、熟成肉の美味しさを数値化してお客様へ分かりやすく伝えるため、村上教授に協力を依頼していたのですが、教授からは熟成肉を製造する衛生面での不安要素について指摘されました。従来の「ドライエイジング」は自然に浮遊している胞子が肉へ付着するのを待つ製法です。空気中には様々な胞子が飛んでいるので、確かに、腐敗菌の要素になる胞子まで付着してしまうリスクもあります。さらに、自然に任せた胞子の成長はどうしても不安定なので、品質の均一化が難しいといった課題も再確認できました。」

お話しを聞いた、ミートエポック社の川野辺さん

―新しい発酵熟成法を独自で開発!「エイジングシート」の誕生
より安全に、より美味しい熟成肉を作りたい。そんな理想を掲げて始まった新しい発酵熟成法の開発プロジェクト。熟成に必要な胞子だけを肉へ付着させることができれば(腐敗菌をブロックし、発酵菌をより多く付着させる)、安全かつ安定した熟成肉を生産できると考えて、胞子の研究に取り組んだ。実は通常の熟成では、どんな菌が熟成をすすめるのかは神のみぞ知る、と言っても過言ではない。

「環境の違いから、国や場所によっても熟成に作用する菌の種類は異なります。自然に浮遊する胞子に頼る従来の方法では、同じ肉を同じ方法で熟成させたとしても、例えばアメリカで行う場合と日本で行う場合では、仕上がりや味が変わってくるのです。数ある菌から弊社が採用したのは、発酵菌であるヘリコスチラム。食材が発酵・熟成するためによい影響を与えてくれて、もちろん人体に無害な菌です。」

「エイジングシート」に包まれた肉の塊が吊るされている、熟成庫の内部

では、肉へ菌をどう付着させるか。スプレーで胞子を吹きかけるなど様々な方法を検討した結果、さらし布や湿布のように肉をぴったりと包むシートを考案。こうして2016年に誕生したのが、ヘリコスチラム菌を布に付着させた「エイジングシート」だ。「エイジングシート」で肉を包み込めば、自然浮遊する胞子の付着を待つことなく、熟成に有益な菌が短期間で増殖。ヘリコスチラム菌にすっぽりと覆われた状態が短時間で作り出されるため腐敗は防止でき、品質の安定した熟成肉を作ることができるという。

画像:熟成肉

エイジングシートで肉を丁寧に包んでいく

「例えば肉の味噌漬けは麹の中に漬けますが、肉全体が麹菌に包まれるために腐敗菌が入り込まず、美味しい漬物が出来上がります。熟成肉の仕組みは、漬物と同じなんです。」

画像:熟成肉

右が熟成前、左が熟成後の肉。表面の質感の変化がよく分かる

―「エイジングシート」を使って、より安全でクオリティの高い「発酵熟成肉」を
ミートエポック社は「エイジングシート」の発酵力により熟成した肉を「発酵熟成肉」と命名。新たな食の文化としてその安全性と美味しさを発信中だ。「発酵熟成肉」は肉質が非常に柔らかく、脂の口溶けが魅力的。そして熟成香といわれる、ミルクやナッツのような芳醇で独特な香りが口の中に広がって、一度食べるとクセになる。

「国内外の様々なシェフにこの「エイジングシート」を試していただきましたが、あるシェフはマグロを90日間熟成させ、新しい美味しさを発見していました。」

肉だけでなく魚にも使用できる「エイジングシート」を活用すれば、「発酵熟成肉」にとどまることなく、食の様々な可能性が広がっていくだろう。

―「発酵熟成肉」は、エコ!
「発酵熟成肉」のもう1つの魅力として、実は、エコなことが挙げられる。従来の「ドライエイジング」製法では、風を送り肉を乾燥させながら熟成させていくため、肉の表面から深く乾燥し、カビ部分と共に硬くなった部分もトリミングをする必要があり、可食部が減るというデメリットがあった。「エイジングシート」を使った発酵熟成では、熟成の段階で乾燥させる必要はない。肉の乾燥が少ない分「ドライエイジング」に比べて可食部が多いのだ。食品廃棄も減らせるうえ、可食部の割合が高まることで、これまでの熟成肉よりリーズナブルに消費者に届けられるという。

熟成後、肉に生えたカビ部分をていねいにトリミングしていく

画像:熟成肉

丁寧に切り出された肉は眩いばかりに美しい。

―「エイジングシート」を家庭用に進化させた「発酵力 オイシート」。2021年のクラウドファンディングが話題に
2016年の実用化以降「エイジングシート」は業務用として活用されてきたが、2021年4月、ついに家庭用として進化した「発酵力 オイシート」がクラウドファンディングで発表された(2021年6月21日に受付終了)。自宅で、いつもの肉や魚を気軽に熟成させて食べられる面白さ。そして「発酵力 オイシート」で熟成させると、スーパーで買った肉や魚も消費期限から5日間保存期間を延ばすことができる保存性もあり。食品ロスの削減に繋がるSDGsの観点からも注目を浴びている。

レストラン「旬熟成」でもおなじみ!「発酵熟成肉」が「3rd Menu」に登場

EAT UNIVERSITYが運営する、お取り寄せグルメのセレクトショップ「3rd Menu」。ここへ集まるのは、編集部が選び抜いた本当に美味しい「食」のプロが生み出した商品ばかり。自宅で食事を楽しむ機会の増えた、新しい時代。プロにしか生み出せない食の感動を、食卓へ!

こだわりの末誕生した「旬熟成」の「発酵熟成肉」が、EAT UNIVERSITYが運営する「3rd Menu」に登場!「極上サーロイン」「マルシン」「ランプ」「豚上ロース」「生サルシッチャ」、そして「発酵熟成肉盛り合わせ」。自宅に届いたら、あとは美味しく焼くだけ。フレッシュミートとは一味違う、お肉の食べ頃を、食卓で。

発酵熟成肉「極上サーロイン」(200g~)

牛肉の中でも高級部位のひとつであるサーロイン。牛の背中・中央部の肉。適度なサシが入り込み、身質、脂身、柔らかさ、どれをとっても一番人気。発酵熟成肉「極上サーロイン」は、黒毛和牛を使用。熟成する事で脂身がさっぱりと仕上がって、ステーキと相性が良いとされる赤ワインより、上品な脂の美味しさを引き立ててくれる日本酒と合わせたくなるような味わい。ベースの肉の旨味が強く、豊かな熟成香とも相まって、まるで肉の旨味の塊を頬張るような感覚に。

発酵熟成肉「マルシン」(100g~)

「マルシン」は、牛のモモ肉の中でも中心部分(芯)。他のモモ肉と比べても柔らかで、きめ細かい肉質が特徴。程よくサシが入りつつも脂身のしつこさはなく、まさに赤身肉の美味しさを上品に堪能したい人におすすめ。使用する牛肉は、群馬県産黒毛和牛種の赤城牛。

「肉質は繊細、柔らかさが特徴です。ステーキに最適ですよ!」(ミートエポック社・川野辺さん)

発酵熟成肉「ランプ」(100g~)

「ランプは非常に肉質の柔らかい部位ではありますが、熟成によってさらに柔らかさが際立っています。ほどけるような食感が特徴です。」(ミートエポック社・川野辺さん)

群馬県産黒毛和牛種の赤城牛を使用した、発酵熟成肉「ランプ」。ランプは腰からお尻・モモにかけての部位で、うっすらと入るサシにクセはなく、あっさりとお肉の味が楽しめる。

発酵熟成肉「豚上ロース」(100g~)

熟成させて旨味が増すのは、牛肉だけではない。この「発酵熟成豚 上ロース」は、群馬県産の三元豚、肩から少し後ろの背中部分のロースを使った「発酵熟成肉」。きめが細かく柔らかな肉質と適度な脂が特徴で、熟成した脂の美味しさがさっぱりと広がる。

「淡泊な部位ではありますが、熟成させることによって脂の風味、身の旨味がしっかりと引き出されています。」(ミートエポック社・川野辺さん)

熟成肉でつくる、肉汁とうまみが溢れる「生サルシッチャ」

素材の旨味をギュッと閉じ込めた。「発酵熟成豚」に白ワイン、塩コショウ、少しの調味料だけで仕上げた生サルシッチャ!齧った時に中身はしっとり柔らかで、これは発酵熟成豚ならではの食感。「発酵熟成豚」の美味しさをシンプルに味わえる、食べ応えのある一品。

発酵熟成肉盛り合わせ(600g~)※画像は盛り合わせの一例です

「発酵熟成肉」で食卓を囲みたいけれど、どれを選べばいいのか迷ってしまう。色々な種類を楽しんで、好みの部位を発掘したい。そんな人におすすめしたいのが、お得に味わい尽くせる詰め合わせセット。様々な部位の組み合わせから選ぶことができるので、ぜひチェックしてみて。

旬熟成
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発酵熟成肉「極上サーロイン」(200g~)
発酵熟成肉「マルシン」(100g~)
発酵熟成肉「ランプ」(100g~)
発酵熟成肉「豚上ロース」(100g~)
熟成肉でつくる、肉汁とうまみが溢れる「生サルシッチャ」
発酵熟成肉盛り合わせ(600g~)