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【ドイツワインの今を巡る旅】他人が決めた「高品質」の基準には縛られない。斬新なワインづくりを追求する”マーカス・モリター”

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ドイツ西部在住で、EAT UNIVERSITY上でこれまでに2度、新型コロナウィルスの影響下にあるドイツの食事情についてレポートしてくれた駒林歩美さん(過去記事はこちらから)。今回、長く、厳しい行動制限が緩和されはじめている現地で、駒林さんはワインの名産地であるモーゼル川沿いのワイナリーを、自転車で巡る旅に出掛けました(第1回第2回第3回第4回)。

4つ目に訪れたのは、さらに4km進んだヴェーレン村にあるマーカス・モリターだ。このワイナリーは感性に従ったワインを作るため、高品質ワインの作り手のサインともなる生産者協会にも加わらず、独自の高品質ワインを自在に作り上げる。

国内外で評価の高いマーカス・モリターは、川沿いの修道院の奥にある丘の上の大きなお屋敷にあった。モリターは、モーゼル川沿いのあちこちの急な斜面に畑を所有し、それぞれの畑の個性を最大限に生かした高品質なワインを多種類作っている。

ぶどうの個性を知り尽くしたからこそできる斬新なワイン作り

現在の当主マーカス氏は、1980年代にわずか20歳でワイナリーを父親から継承し、ワイン作りを始めた。異なる土壌、畑の位置によって微妙に異なる気候条件によって生まれるぶどうの個性を知り尽くし、それを生かしたワインづくりをしている。

ドイツでは、高品質なワインを作る著名ワイナリーの多くは、ドイツ・プレディカーツワイン生産者協会(VDP)に加入し、厳格な品質基準に基づいてワインを作る。その加入が高品質ワインの一種の目印にもなっているのだが、モリターは敢えてVDPに加入していない。それは、VDPの持つ基準に従うと、本当に作りたいワインができなくなるからなのだそうだ。

たとえば、より遅く摘み、糖度を高めたアウスレーゼやシュペトレーゼの実は、通常甘口のワインに用いられる。しかし、モリターでは、それらの熟成した実からも辛口のワインを作り上げる。そうすることでより濃厚で風味の豊かな辛口ワインができる。

収穫前の熟成が長い実から作られた辛口ワインからは、より土壌の生み出す個性が強く表れているように感じられた。何年か寝かして、熟成させたものほど、さらにバランスが整いそうだ。

まさに、ぶどうの個性を知り尽くしているからこそ、一般的な概念を超えて生み出されたワインだ。それぞれ異なる条件を持つ畑と、ぶどうの熟し加減を組み合わせ、さまざまなバリエーションが可能になる。

そのため、モリターでは毎年かなりの種類のワインを作る。熟成させたヴィンテージも販売しているので、取り揃えているワインリストは長い。

多種類のワインを作るにあたってポイントとなるのは、ぶどうの実を収穫する前にどういうワインに使うのか決めて選り分け、それぞれ適切な時期に収穫することだそうだ。その判断には、相当の熟練の感覚が求められそうだ。

温暖化で迫られる変化

近年の温暖化では、ぶどうの糖度が高まっているが、それによって少しずつワインづくりにも変化を迫られているという。

例えば、同じ場所、高度で栽培したぶどうでも、これまでより糖度が高くなる例が増えているが、そんな際にはこれまでと違う種類のワインに使用するなど、毎年、どの実をどうやって使うか、考えていかなくてはいけないようだ。

また、まだ試行段階ではあるが、シャルドネなど、より暖かい地域で生産するぶどうも植え始めているそうだ。ぶどうは果実ができるようになるまで、3年以上かかるといわれる。たくさんの実をつけるにはもっと時間がかかるだろう。今後どんなワインが生みだされるか非常に楽しみだ。

なお、マーカス・モリターのワインは様々な種類が輸入されていて、ピノ・ブランの気軽なものは2000円台から、ヴィンテージのリースリングになると1万円近いものまで価格帯もさまざまだ。オンラインでも買えるので、ぜひ探して試して欲しい。

駒林 歩美
歴史と緑の豊かな、ドイツ西部の小都市でのんびり暮らすフリーランサー。これまでオランダやイギリスの大学院で学び、東南アジアなどで働き、あちこちで美味しいものを探す。6カ国目のドイツでは、ソーセージなどの肉料理、ドイツパンの美味しさに目覚める。時には新鮮なシーフードを求めて欧州各国を旅するのが好き

 


 

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