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オリーブオイル世界シェア20%。人口わずか11万人の街ハエンを歩く|スペインを食べる。

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ヨーロッパ大陸の西の端に位置するイベリア半島。様々な民族や文化が混在し、海の幸にも山の幸にも恵まれたこの地に立地するスペインの「食」は、すべてが実に豊かで、丁寧に作られ、そして何より圧倒的に美味い。
この国が持つ「食」の実力を、毎回現地からお届けする。

世界でトップクラスのオリーブ生産国であるスペイン。もちろんオリーブオイルはこの国を訪れる観光客にとって、定番の土産物である。

この国のオリーブオイルの一大生産地が、アンダルシア地方にある、人口わずか11万人の山間の街・ハエン(Jaen)。

この街の周辺には55万ヘクタールのオリーブ畑が広がり、スペインで生産されるオリーブオイルの50%はハエン産である。また世界的に見てもハエン産のオリーブオイルのシェアは高く、全世界で生産されるオリーブオイルの20%を占める。

ハエンのオリーブの木

オリーブ畑を車窓に見ながらハエンの街へ

ハエンのカテドラルから見た景色。写真奥の緑色はすべてオリーブ畑。

ハエンの街があるのは、スペインのアンダルシア地方。南にはアルハンブラで有名なグラナダがあり、西にはメスキータで有名なコルドバが広がる。

グラナダからバスで北上すること1時間半で、ハエンの街に到着。その間バスの車窓には、オリーブ畑がほとんど途切れることなく続く。

グラナダとハエンを結ぶバスの車窓から。オリーブ畑が続く。

ハエンの街に到着して一番最初に目指すのは、この街のカテドラル(大聖堂)。急な坂道の中腹にそびえたつこの大聖堂の展望台からは、この街全体を良く見渡すことができるのだ。

このハエンは、文字通りオリーブ畑に囲まれた街である。市街地の住宅街がおわる場所からオリーブ畑が始まり、それは山の向こう側まで続く。

このカテドラルのすぐ隣にある、オリーブオイル販売店がオレオテカ・ハエン(Oleoteca Jaen)。ここでハエンの、そしてスペインのオリーブオイル事情についてお話を伺った。

オリーブオイルの品質を決める重要な要素とは

オレオテカ・ハエンの担当者

まず、最初にオリーブオイルの品質を決めるもっとも重要な要素は何かと質問したところ、その答えは「品質のよい実を確保すること」。一見、シンプルかつ何の難しいこともないような表現に思える。

しかし、この要素を生産現場で実現するには様々な困難があるのだ。

まず、高い品質のオリーブの実を収穫するには、オリーブの実をつけたまま熟成させる必要がある。しかし、その実が地面に落ちてしまうと、実の品質は低下する。そのため、実が熟成するぎりぎりまで木につけておき、地面に落下する前に採取する必要がある。

そして、このオリーブの実の熟成のタイミングを見るのは、生産農家の経験に頼ることになる。

そして、「収穫した実を、状態のよいまま保存する」ことも重要である。この保存の時点で実がつぶれてしまい、オイルの品質が低下することも珍しくはないという。

最後に「オリーブオイルの品質のよい実だけを使って、オイルを抽出すること」。現在の多くのオリーブオイル工場では、品質の良い実も悪い実も、そしてオリーブの種や木の枝葉なども一緒にして、オリーブを抽出しているところも多いのが実情である。

こうした話から、「本当に品質の高いオリーブの実から抽出したオリーブオイル」というのは決して多量に生産されているわけではないことがわかる。

スペインのオリーブオイルにまつわる噂

ハエンの街角からもオリーブ畑が見えます。

この数年、スペイン産オリーブオイルに関して「スペイン産のオリーブオイルがヨーロッパ内のとある国(ここでは仮にA国とする)に輸出され、そのA国でスペイン産オリーブオイルが瓶詰されたあと、『A国産オリーブオイル』として販売されている」という噂がある。

今回オレオテカ・ハエンでこの噂の真偽を確認したところ、「そうしたことは実際に起こっている。」との返事であった。

しかし、同時に現在アンダルシアの家庭で使用されているオリーブオイルの80%は、厳密にはスペイン産ではなく、モロッコ等から輸入されたオリーブオイルであるそうだ。そして、その外国産オリーブオイルをスペインで瓶詰し「スペイン産オリーブオイル」として販売しているのが現状である、とも話す。

「ハエンのようなオリーブオイルの産地でも、一般家庭ではオリーブオイルの価格だけを見て1ユーロでも安いオリーブオイルを購入する。そのため、品質に手間暇をかけた地元産のオリーブオイルは、地元のスーパーマーケットなどでは売れ行きが良くない」とも言う。

食べるためのオリーブとオイルのためのオリーブ

スペインを旅行すると、つまみとしてバールやレストランなどで塩漬けされたオリーブが出されることもしばしばある。

こうした「食べるためのオリーブ」の種類はすべて、「オイルのためのオリーブ」として利用することも可能である、とのこと。

「基本的に、オリーブはすべて食べることができる。ただ、オイル用にはよい品種でも、食べると本当にまずいものがあるので、その点は注意が必要。」と笑顔で教えてくれた。

品質を重視し丁寧に作ったオリーブオイルを世界に広めようとしている、ハエンのオリーブオイル生産者。

日本でスペインから輸入されたオリーブオイルを見かけたら、ぜひ手に取ってそのラベルにご注目をしていただきたい。

“JAEN”の文字が控えめに、でもしっかりと、そのおいしさを主張しているだろう。

 

オレオテカ・ハエン(Oleoteca Jaen)
住所:CALLE MAESTRA 9A, Jaen. (ハエンのカテドラルの隣)
電話番号:+34953823424
公式WEB:http://oleotecajaen.com