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写真:シャンカールノグチ

3代続くスパイスのプロが提案する、より豊かで、もっと刺激的な食卓|シャンカール・ノグチさん

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EAT UNIVERSITYは、本当に美味しいレストランのお取り寄せグルメ、そして食に関わるプロの手掛けたこだわりの品ばかりを集めたセレクトショップ「3rd Menu」をスタートしました。今までになく、自宅で食事を摂る機会が増えた新しい時代に、プロにしか生み出せない食の感動を自宅で簡単に味わえるようにしたい。そんな想いで私たち編集部は、自分たちが本当におすすめしたい品々を選び、お届けします。美味しさの背景には必ずと言っていいほど、語られるべきストーリーが存在すると私たちは考えています。当連載では、私たちの想いに共感してくださった食のプロである皆さんお1人ずつにインタビューさせて頂き、そんな美味しさの背景にあるストーリーに迫ります。今回は「3rd Menu」初!レストラン以外からのご出品者となります。

祖父の代より続くインドアメリカン貿易商会の3代目、シャンカール・ノグチさん。インド産を中心とする輸入食品の貿易業を生業としながら、レストランのシェフのためにスパイスを調合し、オリジナルブランド「INDIA SPICE & MASALA COMPANY」をプロデュース。さらには日印混合料理集団の「東京スパイス番長」、日本をカレーで盛り上げるために結成されたという「カレー将軍」の一員でもあり、スパイスやカレーの魅力をPRすべくイベントやワークショップを開催、書籍の執筆を手掛けるなど、幅広く活動を展開。言わば彼は、インドスパイスの伝道師なのだ。

写真:シャンカールノグチ

祖父から続く、インドアメリカン貿易商会の歴史。そして、自ら立ち上げたオリジナルブランド「INDIA SPICE & MASALA COMPANY」

実はノグチさんは東京生まれの、東京育ち。本名を野口慎一郎というが、インド人である祖父に呼ばれていた愛称「シャンカール」の名をとってシャンカール・ノグチとして活動をしている。生粋の江戸っ子であるが、彼の体にはスパイスやインド料理が馴染んでいるという。

「スパイスについては教えられたというより、子供の頃から仕事の手伝いをする中で学んでいきました。スパイスに囲まれながら育ったんです。またインド人である祖父の影響で、日本の家庭料理と同じくらいインド料理にも親しみがあります。例えば、チャパティ(薄焼きのパン)が食卓に並んでいたり、お味噌汁の代わりにダル(豆のカレー)を食べたり。幼い頃からインドカレーを食べてきました。」

ノグチさんの祖父・L.R.ミグラニさんはインドのパンジャブ地方出身。第二次世界大戦前の1930年代にインドから神戸に渡り、NHKの特派員や朝日ウィークリーの記者として活躍、東京裁判にも記者として参加していたという。また、フリーダムファイターのメンバーとして中村屋のボース氏に師事。戦後はジャーナリストを引退し、日本製品の輸出業をスタート、後にインド食品の輸入業をメインに営むようになる。

写真:シャンカールノグチ

前列右端が祖父のL.R.ミグラニさん

「当時祖父は手紙で貿易のやり取りをしていて、部屋からはいつも手紙を打つタイプライターの音が聞こえてきました。とても仕事熱心で厳しい人でした。祖父が輸入業を始めた時、日本では「新宿中村屋」が既にインドカレー※を出していましたが、今のように個人がスパイスを購入して家庭で使うなんて考えられない時代です。」
※新宿中村屋が喫茶部(レストラン)で「純印度式カリー」を提供し始めたのは、昭和2(1927)年のこと。日本にカレーが入ってきたのは明治時代とされるが、カレーは当初インドを植民地としていたイギリス経由で入ってきたため、当初は西洋料理と認識されていた。

その後母親が事業を継ぎ、ノグチさんもそれを手伝うようになる。スパイスの普及を目指す中で、約30年前には当時では珍しいスパイスの量り売りを「プランタン銀座」などの百貨店で試みたこともある。その当時もまだ、日本には「スパイスを楽しむ」文化が根付いていないと実感したという。

それでも先々代より続く輸入・卸売をメインとしながら、日本においては先駆けとなるオリジナルのスパイスミックスの販売に挑戦。近年では、自身が立ち上げたオリジナルブランド「INDIA SPICE & MASALA COMPANY」が「新宿伊勢丹」や「日進ワールドデリカテッセン」、「DEAN & DELUCA」、「NATIONAL AZABU」などこだわりの品揃えを誇る小売店やネット通販で取り扱われるようになり、ようやくスパイスが日本に浸透してきたと感じているという。

また、卸売先もインドレストランやスパイスカレー店はもちろん、イタリアンやフレンチレストラン、中華料理店にまで拡大している。料理の監修や、シェフへのスパイスに関するレクチャーを行うこともあり、様々な角度からスパイスの普及活動を続けている。

リ・カーリカ(東京・学芸大学)等、複数の人気レストランを経営する堤亮輔シェフ(右手前)も、ノグチさんの顧客の1人

インド国内の優れた産地を選び抜き、ナチュラルな成分にもこだわったスパイスを

ノグチさんがプロデュースする「INDIA SPICE & MASALA COMPANY」の商品は、焙煎、ブレンド、パッケージまで、基本的にオール・インド。ナチュラルな成分にもこだわっていて、中には有機JAS認定オーガニックスパイスが使われているものも。

「オーガニックスパイスは香りにふわっと甘みがあって。その甘みは料理に深みを出してくれます。」

「例えば同じクミンでも、作る農園や製法によって全く違います。天候にも質が左右されるので、毎年同じ出来のスパイスが出来上がるわけでもありません。なので、いつも取引をしているものが納得のいかない品質であった場合、産地を変えたり、収穫年の違うものを探して仕入れています。」

スパイスの仕入れ先は先々代からの付き合いで、今では孫同士で取引を続けているところもあるというが、その信頼関係に甘えることなく、高い品質を維持するために年に平均2回はインドへ足を運び(※現在はコロナ禍のため自粛中)、市場を巡ってより良いスパイスを求める旅に出るのだとか。

インド訪問の際には必ず訪れるという、オールドデリーエリアに位置するレストラン

「スパイスにはそれぞれ相性の良い食材、そして料理があります。その組み合わせは使用していると分かってきます。まずは色々と気軽に試して、好みの香りや味の可能性を探してみては、いかがでしょうか。」

スパイスの魅力が揃ったラインナップをお届け

今回、シャンカール・ノグチさんが3rd Menuへ出品するのは、オリジナルブランド「INDIA SPICE & MASALA COMPANY」から、「スパイス3種セット(インディアンデュカ、スウィーツマサラ、チャットマサラ)」、「グリーンペーストチキンカレー」、「カカオチャイ」の3品。3rd Menuとしては初めて、料理人ではない、食のスペシャリストからの出品となる

まず「スパイス3種セット」は、インド産の良質なスパイスを使ったスパイスミックスを、お試しサイズで。料理に使ったり、スイーツにパラリとふりかけたり。個性豊かなスパイスで仕上げれば、いつもとは少し違った一皿が味わえる。「グリーンペーストチキンカレー」は、特別なブレンドのスパイスが手元に届き、同封されるレシピ通りに調理をすれば、タイのグリーンカレーとインドカレーの融合した新感覚のカレーが出来上がる市販のカレー粉を使わずにスパイスから本格カレーを作ってみたい、そんな方におすすめ。そして「カカオチャイ」は、高品質なアマゾンカカオとコラボした香り高いチャイブレンド。このアマゾンカカオは、世界の名だたるレストランで腕を振るい、現在は料理人の傍ら、独自にカカオ豆の普及のため活動を続けている太田哲雄さんから仕入れたもの。「カカオの深みがマサラチャイと融合して、インパクトがありつつも飲み飽きない味です。」(ノグチさん)

スパイス3種セット

写真:グリーンペーストチキンカレー

グリーンペーストチキンカレー

カカオチャイ

シャンカール・ノグチ
インド人である祖父が立ち上げた、インドアメリカン貿易商会の3代目、シャンカール・ノグチさん。インド産輸入食品の貿易業を生業として、日本全国のレストランに商品を卸しているほか料理の監修も手掛ける。オリジナルブランド「INDIA SPICE & MASALA COMPANY」は。ノグチさんがインド国内を巡り厳選した良質なスパイスを使用した商品を展開。焙煎、ブレンド、パッケージまで、基本的にはオール・インドで仕上げたアイテムばかり
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3rd Menu 出品者紹介ページ
3rd Menu 商品ページ:
スパイス3種セット(インディアンデュカ、スウィーツマサラ、チャットマサラ)
グリーンペーストチキンカレー
カカオチャイ