日本茶をワインのように愉しむ。シングルオリジン茶葉を茶商が抽出するボトリングティー「CRAFT BREW TEA」
2021年、静岡県藤枝市に100年以上続く茶商・丸七製茶が、選び抜かれた上質な日本茶を扱ったボトリングティーブランド「CRAFT BREW TEA」を立ち上げた。ひと口飲むと茶葉の個性豊かな風味が広がって、どこかほっとする。急須で淹れるお茶とも異なる魅力を持った「CRAFT BREW TEA」は、茶葉の風味と料理の相性を考えながら、ワインのように選びたい。香りを豊かに感じられる、ワイングラスで飲むのがおすすめ。
今回EAT UNIVERSITY編集部は、丸七製茶の奥本さんにお話しを聞いた。
明治創業の丸七製茶が手掛ける。高級ボトリングティー「CRAFT BREW TEA」スタート
明治40年に創業した、丸七製茶。老舗の茶商が新しく「CRAFT BREW TEA」を立ち上げたきっかけには、大量に生産されるお茶とは相容れない、希少で魅力的なお茶への想いがあったという。
「残念なことに、自宅で日本茶を淹れるという方は減っていて、お茶本来の味わいを愉しんでいただく機会は少なくなっています。需要が減少すれば、せっかくの上質な茶葉も安価な茶葉への風味付けとして、消費されてしまう。これをとても勿体なく感じています。」
「お茶の風味を最も引き出す飲み方は、やはり急須で淹れることだと思っていますが、最近では急須を持っていないという方も多く。さらに茶葉というのは繊細で、お湯の水質や沸かし方、温度、茶葉の鮮度や量、淹れる道具の素材や注ぎ方など、少しのことで味や香りが変化しますので。多くの方にお茶本来の美味しさをお伝えするには、最適な淹れ方で作ったお茶を、手軽に飲めるようなボトルでお届けするのがベストではないかと考えたのです。」
「CRAFT BREW TEA」の日本茶は、全てガラス瓶にボトリングされている。ガラスボトルに入った日本茶はワインや日本酒のようにテーブルを彩って、蓋を開けてグラスへ注げば、お茶の専門家が淹れた最高のお茶を手軽に愉しむことができる。発売から1年経たぬうちに10年連続「ミシュランガイド」掲載、二つ星獲得の「すし処 海味」(外苑前)をはじめとする複数の有力レストランでも採用され始める、食のプロも納得の味わいだ。
約20年の構想を経て建造された自社工房で、高品質な茶葉をボトリングティーに仕上げる
ボトリングティーを手掛ける会社は他にもあるが、丸七製茶では荒茶(茶畑で摘んだままの茶葉)の仕入れから始まって、茶葉の火入れ、お茶の抽出、ボトリングまでを一貫して、すべて自社で行っているところが特徴だ。「CRAFT BREW TEA」には、各品種のベストな収穫日を見極めて、その1日に摘みとった一番茶(新茶)や、玉露の中でわずか0.2%しか作られていない品種の茶葉など、希少価値の高い様々な日本茶が揃う。これらを抽出するため、約20年もの構想を経て造られたという自社工房では、水質、湯温、濃度、抽出時間などを茶葉ごとに細かく設定。それぞれの茶葉の個性を最大限に活かすべく、最適な状況が考えられている。
日本茶のシングルオリジンを、日本茶のテロワールを愉しむ
一般的に出回っている日本茶のほとんどが、複数の農園で生産された様々な茶葉をブレンド(合組=ごうぐみ)して作られていることを、ご存知だろうか。軸となる茶葉として多く使われるのは、「やぶきた」という品種のメジャーな茶葉。そこへ数種類の茶葉を配合し、風味を作り出すのだとか。
「日本茶は農産物なので、同じ畑で同じ品種を収穫しても、その年の気温や雨量などの影響を受けて、毎年違った品質の茶葉が出来上がります。茶葉は毎年風味も品質も変わるので、合組することで安定した味わいのお茶を毎年お届けしているんです。」
しかし近年、敢えて合組をしない「シングルオリジン」が注目されており、「CRAFT BREW TEA」でも「シングルオリジン」の日本茶を取り揃えている。「シングルオリジン」とは、同じ農園で生産された、単一品種の茶葉のみで仕上げること。つまり合組された茶葉よりも、品種や産地によって培われた茶葉自体をダイレクトに味わうことができる。ワインでテロワールが表現されているように、茶葉の育った土地の風味を感じる。日本で暮らすことの愉しみが広がる、そんな味わいが用意されている。
茶葉の個性をいきいきと感じる、新しい日本茶の美味しさ。「CRAFT BREW TEA」が「3rd Menu」に登場
EAT UNIVERSITYが運営する、お取り寄せグルメのセレクトショップ「3rd Menu」。ここへ集まるのは、編集部が選び抜いた本当に美味しい「食」のプロが生み出した商品ばかり。自宅で食事を楽しむ機会の増えた、新しい時代。プロにしか生み出せない食の感動を、食卓へ!
EAT UNIVERSITYが運営する「3rd Menu」に、丸七製茶の手掛ける「CRAFT BREW TEA」から4商品が加わった。手軽に手を出せそうな価格のものから、1本5,000円ほどの高級茶まで。茶葉によって全く異なる香りや飲み口を愉しみたい。
まずは茶葉ごとの最適を目指して、鍛錬を積み重ねていく決意が込められた「Etude 2021」シリーズ(2021年の限定品)から。「Etude2021 春の名残り」は、脂をきってくれるようなすっきりした飲み口なので、中華料理など、比較的こってりめの料理との相性が抜群。
「非常に複雑で、インドやロシアのお茶も含めて多くの品種がかけ合わされて生まれました。ワインのようなタンニン感もあって、余韻も堪能できます。常温で試していただくと、お茶の甘みも感じやすいです。」(丸七製茶・奥本さん)
「Etude 2021」シリーズからもう1本。「シングルオリジン」ブームにおける先駆といわれる茶葉・香駿を使った「Etude2021 香駿」は、蘭やハーブのような香りが特徴。ライトな飲み口で幅広い料理に合わせやすい。
「花のような香りが特徴ですが、うま味や甘みを感じられ、さらりとしています。嗜好品なのでお好みがあるかと思いますが、比較的若い方にも飲んでいただきやすく、どんな料理にでも合わせやすい味わいです。」(丸七製茶・奥本さん)
日本茶のなかでわずか0.3%しか生産されていない玉露。そのなかでも高級品種の「GOKO(ごこう)」はとても希少で、玉露を作る茶園の0.2%でしか生産されていないのだとか。豊かな香りと、インパクトのあるうま味が特徴。
「召し上がったみなさんが、甘さに驚かれます。料理と一緒にというより、食前酒のような位置付け、もしくは上品な和菓子と一緒に愉しんでいただくと良いかもしれません。通常飲まれているお茶とは一線を画す味わいに仕上がっていますので、お祝いの日にもおすすめしたいです。」(丸七製茶・奥本さん)
口に入れた瞬間、いままで感じたことの無い味わいがきて、その後体温に反応するのか、2段階程味わいが変わっていく不思議なお茶。茶葉の品種開発は、一般的には研究所で行われていることが多いが、稀に個人が育成し生まれる品種もあるという。「摩利支(まりし)」も茶園の個人に登録された品種で、もともと生産量の少ない希少なものであったが、その生産者が亡くなったことで一時生産が途絶えていた時期があり、幻のお茶と呼ばれているのだとか。「人生で一度は飲んでみたい。」と言われることもある「摩利支」。食事と一緒に愉しむ贅沢も良いけれど、まずはぜひ、お茶自体を味わって。ハレの日の特別な体験にもおすすめ!
「複雑なハーブティーのような香り。冷やした状態から常温に戻るにつれても香りの広がり方が変わるんです。うま味・渋み・香りのバランスが非常に良いので味の立体感や余韻があります。」(丸七製茶・奥本さん)
丸七製茶「CRAFT BREW TEA」
3rd Menu 出品者紹介ページ
3rd Menu 商品ページ:
「Etude2021 春の名残り」
「Etude2021 香駿」
「玉露 GOKO」
「摩利支 MARISHI 2021」