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【ドイツワインの今を巡る旅】20年寝かせるのがベスト?世界で最も長期保管可能な白ワインとは

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ドイツ西部在住で、EAT UNIVERSITY上でこれまでに2度、新型コロナウィルスの影響下にあるドイツの食事情についてレポートしてくれた駒林歩美さん(過去記事はこちらから)。今回、長く、厳しい行動制限が緩和されはじめている現地で、駒林さんはワインの名産地であるモーゼル川沿いのワイナリーを、自転車で巡る旅に出掛けました(第1回第2回第3回)。

3つ目に訪れたのは、ベルンカステルの街から5kmほど先のヴェーレン村にある、名門ワイナリーのヨハン・ヨーゼフ・プリュムだ。ここは、クラシックな、甘みのあるドイツワインを最高レベルに高めた高貴な白ワインを作る。その濃厚さゆえに長期保管して飲むのが適しており、世界で最も長期保存に適した白ワインだという。

ヨハン・ヨーゼフ・プリュムは、200年以上の歴史を持つワイナリーで、すっきりとした酸味と控えめな甘さを持つ昔ながらのモーゼルワインを追求し、完璧なレベルまでに高めてきた。国内外で評価が高く、日本にも長く輸入されている。

その歴史と存在感にふさわしい、美しい川沿いのビラにあった。

このお屋敷はワイナリーを創業したヨハン・ヨーゼフ・プリュムが家族から受け継いだもので、代々そのワインを洗練されたものへと高めてきたそうだ。

現在の当主のマンフレッド氏は、1969年に家業を継ぎ、その娘のカタリーナさんと一緒にワインを作っている。

繊細なワインを作り出す感性と経験に裏打ちされた判断力

モーゼルに典型的な「甘いワイン」だが、甘すぎることはなく、その中に繊細な酸味とのバランスを持ち、すっきりとした複雑な味わいを持つ。そして、濃厚だが、アルコール度は低めで9%だ。

絞ったぶどうを発酵させる途中、酵母を取り出し、発酵を止めてしまうのだという。このタイミングの判断には、研ぎ澄まされた感性と経験が求められるのだろう。気の遠くなるような世界だ。

より辛口なものから、甘みが強いものまで3種のワインを試させてもらった。
ドイツでは、ワインの元になるぶどうの収穫時期によって、区分が分かれるのだが、それぞれ異なるカテゴリーのものだ。

通常の時期に収穫したぶどうをカビネット、それより1週間程度遅く収穫して甘味を高めたぶどうをシュペトレーゼ、それよりさらに遅く収穫して甘さの濃縮したぶどうをアウスレーゼという。

最も甘みが少ないカビネットで試したのは、「ヴェーレナー・ゾネンウアー(ヴェーレンの日時計)2019」というものだ。

その名前は、このビラの川向いの斜面に広がるブドウ畑の名前だ。1842年にプリュム家の当主が、当時時計を持っていなかった農民のためにブドウ畑の斜面に日時計を設置した。そして同地域のシンボルになった日時計は、同ワイナリーのラベルにも描かれている。

なお、こちらのワインはドイツでもやや高価なのだが、カビネットのゾンネンウーアは日本で5,000円程度からでオンラインでも個人販売されているようだ。お祝いのときなどにぜひ飲んで欲しい高貴なワインだ。

アジア料理に合う甘口ワイン

同じ畑から取れた、より甘みの強い2018年のシュペトレーゼ、また別の畑から取れた、甘みの強い2015年のアウスレーゼも試させてもらった。

甘いワインを飲んだ経験はそれほど多くなかったのだが、これらは後味もすっきりしていて、味わい深いものだった。

意外にも、甘めのワインは辛さと甘さを併せ持つタイ料理に合うとワイナリーのミハイロ氏にもアドバイスをもらった。そう言われて本当に試してみたが、確かに甘口のワインは、コクと甘味のあるアジア料理によく合う。おそらく肉じゃがなどの日本食にも合うのではないかと思うし、個人的には、シュペトレーゼを(ドイツでは入手困難な)銀ダラの西京焼きと合わせてみたいと思っている。

今後もっと色々な組み合わせを試して、自分なりのマリアージュを探求してみたいと思う。

世界一長期熟成が可能な甘口ワイン

なお、ヨハン・ヨーゼフ・プリュムのワインは寝かせて熟成させ、角を取り、よりバランスの取れた状態で味わうのがおすすめだという。

若い軽い味わいを楽しむ白ワインも多いが、ヨハン・ヨーゼフ・プリュムのワインは、一番甘みの少ないカビネットでも5年ほど寝かせ、より甘いものは、10〜20年寝かせるのが良いという。世界で最も長期保管できる白ワインの一つだそうだ。

駒林 歩美
歴史と緑の豊かな、ドイツ西部の小都市でのんびり暮らすフリーランサー。これまでオランダやイギリスの大学院で学び、東南アジアなどで働き、あちこちで美味しいものを探す。6カ国目のドイツでは、ソーセージなどの肉料理、ドイツパンの美味しさに目覚める。時には新鮮なシーフードを求めて欧州各国を旅するのが好き。

 


 

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